店頭の貼り紙は、通りすがりの数秒で読まれます。凝ったデザインより、情報の並べ方で決まります。
- タイトルで内容が分かるようにする――「お知らせ」だけでは読み飛ばされます
- 日付と数字は本文の倍の大きさ――お客様が知りたいのは挨拶文ではありません
- 外す日を決めてから貼る――終わった貼り紙が残っているのが、いちばん印象を損ないます
求人の貼り紙にはさらに法律面のルールがあります。性別・年齢の限定は原則禁止、時給は最低賃金以上。最低賃金は毎年10月ごろに改定されるため、貼りっぱなしは危険です。
臨時休業、営業時間の変更、年末年始のお休み、そしてアルバイト募集。店舗を構えていると、貼り紙が必要になる場面は定期的にやってきます。飲食店に限らず、美容室、整体院、教室、小売店まで共通する仕事です。
急ぎで用意するものだけに、コピー用紙にマジックで走り書き、という貼り紙も街ではよく見かけます。それでも用は足りますが、貼り紙はお店に来たすべての人が目にする「お店の顔」のひとつです。せっかく足を運んでくれたのに休みだったお客様が、最後に見るのがその1枚だとしたら、少し丁寧に作る価値があります。
場面ごとに、必ず入れる情報
共通するのは「いつ」「どうなるのか」「いつ元に戻るのか」の3点です。
| 場面 | 必ず入れる情報 | 掲示を始める時期 |
|---|---|---|
| 臨時休業 | 休業日・営業再開日 | 決まり次第すぐ(最低1週間前が理想) |
| 営業時間の変更 | 変更後の時間・開始日・当面か恒久か | 2週間前〜 |
| 年末年始・お盆 | 休業期間・年始の営業開始日 | 1か月前〜 |
| 定休日の変更 | 新しい定休日・切り替わる日 | 2週間〜1か月前 |
| 店内改装 | 休業期間・リニューアル日 | 決まり次第 |
| アルバイト募集 | 職種・時給・シフト・応募方法・店名 | 随時(時給改定時は必ず刷り直す) |
もっとも忘れやすいのが「いつ元に戻るのか」です。「〇月〇日は休業します」だけの貼り紙では、翌日以降に来てよいのか不安が残ります。「〇日より通常営業いたします」まで書いて、初めてお知らせとして完成と考えましょう。
この例は白黒+赤1色で作っています。赤の部分を黒にすれば、そのままA4白黒20円で刷れます。貼り紙はカラーである必要がなく、効くのは色数ではなく日付と数字の大きさです。
読まれる貼り紙にする5つのコツ
- 一番伝えたいことをタイトルにする――「お知らせ」とだけ書かれた貼り紙は読み飛ばされます。「臨時休業のお知らせ」「スタッフ募集」のように、タイトルだけで内容がわかる見出しにします。
- 日付・数字は本文の倍の大きさで書く――お客様が知りたいのは挨拶文ではなく日付です。求人なら時給とシフトです。「8月15日(土)」「時給1,200円」のような肝心の情報は、離れた場所からでも読めるサイズにします。曜日を添えると勘違いを防げます。
- 情報は3つまでに絞る――1枚に「休業のお知らせ」と「新メニュー」と「求人」を同居させると、どれも読まれません。伝えたいことが複数あるなら、紙を分けます。
- 発行日と店名を入れる――いつ出されたお知らせなのか分からない貼り紙は、新しいのか古いのか判断できません。隅に「2026年8月吉日 〇〇店」と入れるだけで信頼感が変わります。
- 「外す日」を決めてから貼る――いちばん印象が悪いのは、終わった内容が貼られたままになっていることです。貼るときにカレンダーへ「剥がす日」を登録しておきましょう。
「〇月〇日休業」とだけ書いて年を書かないと、貼りっぱなしになったときに「今年の話か、去年の話か」と混乱させます。長めに掲示する可能性があるお知らせには、年まで入れておくのが安全です。
そのまま使える文例(お知らせ)
日付とお店の名前を差し替えるだけで使えます。どの業種でもそのまま使えます。
臨時休業のお知らせ
いつもご利用いただきありがとうございます。
誠に勝手ながら、下記の日程を臨時休業とさせていただきます。
〇月〇日(〇)
〇月〇日(〇)より通常どおり営業いたします。
ご不便をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
2026年〇月〇日 〇〇店
営業時間変更のお知らせ
いつもご利用いただきありがとうございます。
〇月〇日(〇)より、営業時間を下記のとおり変更いたします。
【変更前】10:00〜19:00
【変更後】10:00〜18:00
定休日(毎週〇曜日)に変更はございません。
今後ともよろしくお願いいたします。
2026年〇月〇日 〇〇店
年末年始休業のお知らせ
本年も格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。
誠に勝手ながら、年末年始は下記の期間を休業とさせていただきます。
12月〇日(〇)〜 1月〇日(〇)
新年は1月〇日(〇)より通常営業いたします。
来年も皆様のご来店を心よりお待ちしております。
2026年12月 〇〇店
休業の理由は、詳しく書く必要はありません。「都合により」「店内メンテナンスのため」程度の一言で十分です。理由よりも、休む期間と再開日をはっきり書くことのほうがずっと大切です。
なお値上げ・価格改定のお知らせは、総額表示など固有の注意点があるため値上げ時のメニュー表差し替えで別途解説しています。
アルバイト募集の貼り紙
求人サイトの掲載料が上がるなか、店頭の募集貼り紙はいまでも十分に機能します。貼り紙を見て応募する人は、店の場所を知っていて、通える範囲に住んでいて、雰囲気をすでに見ている人です。ミスマッチが起きにくい、質の高い応募経路といえます。
ただし「アルバイト募集 時給〇〇円 詳しくは店内まで」だけでは応募につながりません。必要な項目は次のとおりです。
| 項目 | 書き方の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 職種・仕事内容 | ホールスタッフ(接客・配膳) | 初めての人でも仕事が想像できる一言を |
| 時給 | 時給1,200円〜(研修期間あり) | 最低賃金以上。研修時給があるなら正直に |
| 勤務時間・シフト | 17:00〜22:00のうち3時間〜/週2日〜OK | 「週何日から」「1日何時間から」を具体的に |
| 歓迎条件 | 未経験OK・学生歓迎・Wワーク可 | 応募のハードルを下げる情報を優先 |
| 応募方法 | お電話またはスタッフに一声/QRコード | 連絡先の電話番号は大きく |
| 店名・所在地 | 〇〇食堂(この店舗です) | 貼り紙でも店名は省略しない |
いちばん読まれるのは時給と勤務時間です。この2つは本文より大きな文字にしましょう。とくに「週2日・1日3時間からOK」のようなシフトの柔軟さは、学生や子育て中の方にとって時給と同じくらい重要な判断材料です。
応募の第一歩は軽くしてください。「履歴書を持ってお越しください」は貼り紙求人ではハードルが高すぎます。「まずはお気軽にお電話ください」「スタッフに一声かけてください」のように、最初のアクションを小さくします。QRコードでLINEや応募フォームにつなげる方法も有効です(QRコード付き店頭POPの作り方)。
スタッフ募集
一緒に働く仲間を募集しています。
【職種】ホールスタッフ(接客・配膳)
【時給】1,200円〜(研修期間中は1,150円)
【時間】17:00〜22:00のうち3時間〜
【シフト】週2日〜OK・テスト期間考慮します
【歓迎】未経験OK/学生・主婦・主夫歓迎/まかない付き
ご応募・ご質問はお気軽にお電話ください。
スタッフへの一声でも大丈夫です。
〇〇食堂 TEL 000-0000-0000 2026年〇月
求人で気をつける法律面のルール
悪気なく書いてしまいがちな点があります。
- 時給は最低賃金以上に――最低賃金は都道府県ごとに定められ、毎年10月ごろに改定されます。貼りっぱなしの貼り紙の時給が改定後の最低賃金を下回る「うっかり違反」が典型的な失敗です。
- 性別を限定する表現は原則NG――「女性スタッフ募集」「男性歓迎」は男女雇用機会均等法により原則禁止です。「主婦歓迎」も「主婦・主夫歓迎」とするのが安全です。
- 年齢制限も原則NG――「35歳まで」「若い方歓迎」のような年齢の限定は法律で原則禁止されています。「学生歓迎」のような働き方・立場の表現は問題ありません。
- 「急募」を乱発しない――法律の話ではありませんが、通年で「急募」と書き続けると「いつも人が辞める店」という印象になります。
最低賃金の改定は、自動的に貼り紙へ反映されません。10月の改定で自店の時給を上げた場合、レジ設定や給与計算だけでなく店頭の貼り紙の書き換えまでがセットです。古い時給のまま掲示を続けると、法令違反の状態を店頭に貼り出していることになります。
手書きと印刷の使い分け、印刷の方法
体調不良などによる当日の急な休業は手書きで構いません。むしろ「取り急ぎ書いて貼った」ことが伝わるほうが自然です。
一方、日程が事前に決まっているお知らせと求人は印刷が向いています。1か月近く貼り続けることも多く、手書きだと文字のにじみや日焼けで読みにくくなります。数字の読み間違い(1と7、0と6など)が起きにくいのも印刷の利点です。
プリンターがなくても、コンビニのマルチコピー機で1枚から印刷できます。A4白黒20円、A4カラー60円、目立たせたいならA3カラー100円です(2026年9月時点)。手順はネットワークプリントの使い方、料金の詳細はコンビニのコピー料金・用紙サイズをどうぞ。
屋外のドアや窓に貼る場合は、印刷した紙を透明のクリアファイルやOPP袋に入れてから貼ると、雨に濡れても安心です。長期掲示ならラミネート加工(100円ショップの手貼りタイプでも十分)をおすすめします。
MenuPrint(メニュープリント)を使っているお店なら、メニュー表や料金表と同じ仕組みで貼り紙も管理できます。お店の雰囲気に合わせたデザインを一度設定すれば、日付や時給の数字をスマホで書き換えるだけで、いつでも整った貼り紙を刷り直せます。月額980円(税込)〜、初回相談は無料です。